5 mmの壁

みなさん、こんにちは、すっかり寒くなりましたね。今年もいきなり冬になりましたね。

世間では年収103万の壁が話題になっていますが、今日は中顔面短縮量5mmの壁についてお話しします。

両顎手術で中顔面を短縮したい場合、Le Fortで上顎を頭側(上方)に移動させなくてはなりませんが、一般的に行われているLe Fortの移動量は3mm程度です。上方への移動量が3mmを超えてくると移動する骨を削る量が多くなり上顎を栄養している血管や神経を傷つけるリスクが大きくなるからです。そのようなわけで骨を削って上顎骨を上方へ移動できる限界は5 mm程度なんです。

上の図でブルーの部分が3mmの上方移動で削る部分です。

上の図でブルーの部分が5mmの上方移動で削る部分です。

5mmを超えて6mm、7mm、8mmと上顎を上方に移動したい場合はU-cut Le Fortを行います。U-cutをすると上顎骨は馬蹄形になりますので馬蹄骨切りとも呼ばれています。一見すると簡単な術式のように見えますが難易度の高い術式です。しかしながらU-cut Le Fortを習得しない限り中顔面短縮量5mmの壁は乗り越えられないのです。

上の図はU-cut LeFortの骨切り線です。ゴールドの部分を上顎骨から粘膜を切らず切り離します。

U-cut Le Fortで上顎骨を7mm上方に移動した図です。下降口蓋動脈、静脈、神経の周辺の骨をほとんど削る必要がありません